平成26年4月24日(木)

義足の走り高跳び 鈴木徹選手 講演会

 

山梨市出身で義足の走り高跳び選手、鈴木徹さん(33歳)の講演会が、地元山梨市内で開催された。山梨市を拠点に活動する鈴木選手は、過去4回パラリンピックに出場した「日本人初の義足パラリンピアン」だ。障害者スポーツ界の現状や課題、これからの目標などを話した。

鈴木徹選手 プロフィール

山梨県山梨市出身(岩手小-山梨北中-駿台甲府高-筑波大)、33歳。

 

中学、高校時代とハンドボール部に所属し、駿台甲府高校在学中に山梨県代表として国体で3位入賞。その後、筑波大学体育専門学群に推薦入学が決まるが、卒業直前に自らが運転していた車で交通事故を起こし、右足膝下11センチを残して切断。大学を1年間休学し、義足のリハビリや義肢装具士の臼井二美男との出会いがきっかけとなり、走り高跳びを始める。シドニーパラリンピックに日本人初の走り高跳び選手として出場を果たす。その後、アテネ、北京、ロンドンパラリンピックに出場し、4大会連続入賞。

 

2006年のジャパンパラリンピックでは、2m00をクリアし義足選手としては世界で2人目となる2mジャンパーとなった。2009年より、駿河台大学ハンドボール部監督に就任。地元、山梨市を拠点に活動している。

 

プロを選択

 

選手の多くは、仕事を持ちながらセミプロとして活動している。しかし、競技者として生きていくため、より多くの方々に障害者スポーツの認知・理解をして頂くため、あえて厳しいプロの道を選んだ。支援スポンサー獲得のため、プロフィールを作成し、100社にアタック。なんとか10社と話が出来たが、残る90社は返答すらなかった。そんな中、3社の支援スポンサーが決定。

 

パラリンピックの認知度

 

シドニー、アテネでは、大会の認知度が低く、スタジアムでも観客は数千人。写真と結果のみの報道であった。ようやく北京から、周知活動が盛んになり、大会ロゴが出来たり、街にはのぼり旗が設置され、メディアも多くなった。ロンドンでは、約8万人の声援を受けた。

 

障害者スポーツの環境

 

例えば、オリンピアンには強化費が出るが、パラリンピアンには遠征費のみ。障害者スポーツを支える体制も、まだまだ充実していない。欧米では大手企業などによる選手サポートがしっかりと出来ているが、日本では練習施設が十分に使用できない、遠征費用は自費、指導者が足りないなど取り巻く環境は厳しい。パラリンピック以外は、アジア大会や世界選手権も自費だ。そんな中、今月(4月)から強化所管が福祉の厚労省から競技スポーツの文科省へ移り、ナショナルトレーニングセンターも利用出来るようになるかもしれない。

 

山梨の環境

 

山梨県内はさらに厳しく、練習施設、指導者数は乏しい。

例えば、学校の部活動。障害者スポーツに精通している先生が他の学校に異動してしまうと、継続して指導を受けられない。環境の変化に対応出来ず、バーンアウト(燃え尽き症候群)に繋がるケースが多い。地域として一貫指導が出来るクラブチームが必要だ。

 

 

 

今年の目標

 

◎今年10月のアジア大会でのメダル獲得

 

◎世界ランキングを上げる

 

普及活動

 

54日、広島で開催される「ひろしまストリート陸上」に参加。友人である為末大氏と共に、トップアスリートの速さ・高さを体感してもらい、スポーツへの注目度を高めていく。今後も障害者スポーツへの理解を深める活動を積極的にしていきたい。

 

 http://www.hiroshima-ff.com/info2014/2014/04/post-13.html

参加者と共に、記念撮影にも応じてくれた

IMPRESSION NOTE

講演会に参加したリハビリ病院勤務作業療法士は、「怪我のリハビリ終了後、在宅になってからが問題。そこから次へのステップへ進めず、足踏み状態の方々が多い」という。スポーツをする機会と場所がないのだ。

多くの方がこの実情を知り、行政及び地域ぐるみの協力が必要。

「スポーツ山梨」は、応援していきます。

 

平成26年4月15日(火)

山梨学院大学 女子サッカー部

 

山梨学院大学女子サッカー部が、4月に強化育成クラブとして発足。関東大学女子サッカー連盟に加盟し、8月からのリーグに参戦する。

 

関東大学女子サッカー連盟は、東京・神奈川・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬・山梨の8都県の女子サッカー部が加盟をし、1部・2部・3部リーグと分かれている。

 

練習会場である山梨学院和戸第2サッカー場を訪問した。部員は県内外から1年生12名。総監督は横森巧氏、監督は田代久美子氏。この日は、5名の選手が怪我などで別メニュー、7名のみの練習であった。

 

 

横森巧 総監督

 

Q:女子サッカー部設立の経緯は

 

 

高校生や大学生の試合で全国各地を回っていると、なでしこジャパンの功績もあり、女子サッカーに活気がある。しかし、県内の女子サッカーは全国から様々な面で遅れている。誰かが後押ししてあげないといけない。私も山梨学院10年目を迎え、女子サッカーという新分野に挑戦し、その発展に貢献していく仕事に魅力を感じた。ちょうど1年前に準備を始め、県内外から監督、選手を直接スカウトし、ようやくスタートが切れた。

 

 

Q:チームの課題は

 

 

まだまだ1試合走れる体力がないし、怪我もしやすい状況。まずは個々の体づくりから始めている。怪我をしない体づくりが急務だが、焦らず1年掛けて戦えるチームを作りたい。

 

 

Q:練習試合の相手を探すのも大変

 

 

県内には女子サッカーチームが少ないので、学校やサッカースクールの男子中学生にも協力をお願いしたい。そうすることで、試合ばかりではなく、地域にも貢献出来ると思う。これからのチームだからこそ積極的に地域と交流し、強くなるだけではなく地域と共生していきたい。また、山梨学院のサッカーへ興味がある子供達に、男女問わず、チャンスを与えてあげたい。

 

 

Q:山梨のサッカー界

 

 

ヴァンフォーレ甲府の誕生をきっかけに、山梨のサッカーレベルは上がった。特に高校では、中学生の県内有望選手が山梨に留まり、逆に県外有望選手が山梨に来るようになったので、チームを作る環境も良くなった。あとは、大学サッカーの強化が必要。様々なカテゴリーのチームが、地域と共生していくことで、サッカー文化がより浸透し、サッカー強豪県になるのではないか。

 

 

田代久美子 監督

 

愛知県出身。日本体育大学~さいたまレイナスFC~浦和レッズレディース~栃木SCレディース監督

 

 

Q:どのようなチームを目指すか

 

 

1年を通して、しっかり戦えるチームにしたい。けが人を出さないように、体力強化を図る。また、来年も選手が入部して来るが、今の選手がお払い箱にならないように1年かけて強化したい。

 

Q:課題

 

 

山ほどある。サッカーの原理・原則を理解していない。基本も出来ていない。選手の志は高いが、体と技術がついてきていない。下手でも戦える選手になって欲しい。「戦える選手」とは、点を取りにいくために体を投げ出す、点を取られないために体を投げ出すような強いメンタル持った選手。

 

 

Q:目標

 

 

来年のこの時期に、2部リーグにいること。

 

まずはコーンを使った基礎練習。パスの受け方、体の向き、トラップの方向、など丁寧に繰り返す

次は4対2のボール回し。監督は、何度も練習を止め、細かく丁寧に徹底指導。パスを出す方向、味方の右足へ出すのか左足へ出すのか、視野を広く、次の展開を意識、スルーパスを出せるコントロール・・・

選手は頭と体をフル回転!初めての経験だろう

最後は、ここまでの練習の成果を3対3のミニゲームで確かめる

最後のミーティングも真剣。明日へつなげる!

高橋彩(たかはし さや)選手/栃木県・宇都宮文星女子高校/MF/好きな選手:柿谷曜一朗・イニエスタ/「優れた環境で、毎日充実している。日本一を目指します」

水野すみれ(みずの すみれ)選手/山梨県・日本航空高校/FW/好きな選手:柿谷曜一朗・川澄奈穂美/「5月の試合に必勝を期す。そして日本一!」

友寄いくみ(ともよせ いくみ)選手/沖縄県・美里高校/DF/好きな選手:長友佑都/「シュートを打たせない、的確なカバーリング」

杉村美星(すぎむら みほし)選手/神奈川県・藤沢清流高校/MF/好きな選手:中村俊輔/「試合に出て結果を残したい。そして日本一!」

又吉果奈(またよし かな)キャプテン/東京都・東村山高校/MF/好きな選手:大野忍/「土台をしっかり作り、上手くなりたい。サッカー以外も頑張る!」

鷹野祐菜(たかの ゆうな)選手/山梨県・甲府商業高校/DF/好きな選手:風間宏矢(大分トリニータ)/「高校からサッカーを始めた。他の選手のレベルが高い。練習についていく。そして日本一」

堀内悠衣(ほりうち ゆい)選手/山梨県・甲府商業高校/DF/好きな選手:長友佑都/「県外の上手な選手が多い。足を引っ張らないように、上手になりたい」

トレーニングセンターで別メニューを消化し、ミーティングに合流した5選手。

左から、

中西咲(なかにし さき)選手/静岡県・藤枝順心高校/DF・MF

広瀬永子(ひろせ えいこ)選手/宮崎県・延岡工業高校/MF

中森愛(なかもり まな)選手/京都府・京都精華女子高校/GK

熊澤天衣(くまざわ てんね)選手/神奈川県・湘南学園高校/MF

前門桃香(まえじょう ももか)選手/沖縄県・糸満高校/DF

IMPRESSION NOTE

2時間練習で行われたのは、3つの基礎メニュー。監督は「はい!ストップね」と言い、練習を止め、何度も基礎を教え込んでいた。

人工芝の専用グラウンド、トレーニングセンター、充実した選手寮、そして名将・横森総監督と元なでしこリーグのトッププレーヤー田代監督。サッカーをするのにこれ以上ない環境だ。

こんなところでサッカーが出来たなら、僕もプロになれただろう。。。

 

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